ダークソウル2:没になったボスやそれらの武器について

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今回はダークソウル2の少し深めな話。

この作品の開発が非常に難航していたというのは今や有名な話で、特に「開発途中でゲームを作り直した」といったような話を一度は耳にしたプレイヤーも多いのではないだろうか。(出典は「DARK SOULS II DESIGN WORKS」のインタビュー等)

これは実際にデータ内部を調べてみてもやはり事実だったようで、今現在のダークソウル2とは少し異なっていた痕跡がいくつか見受けられる。

それらの中には「カットされたり、設定が変更されたボス」の情報が一部含まれており、同時に「それらのボスソウル武器(内部的に”DS武器”と呼ばれている)」も設定を変えて現在のダークソウル2にいくつか実装されている事が判った。

今回はそれらの事について個人的に調べたことを述べていく。

あくまで限られたソース内からの推察になるので不明瞭な点が多いのはご容赦されたい。

以下、見出しのボス名は「内部名(実装名)」といったように表記とするので混乱の無いよう。

 

マンスコーピオン♂&♀(蠍のターク&蠍のナジカ)

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実際のゲーム中では「蠍のナジカ」が虚ろの影の森のボスで、「蠍のターク」の方がそちらのNPC(召喚可能)といった配役だが、本来は2体とも揃ってボスとして戦うことを想定していたようだ。

以下はDESIGN WORKS内のインタビューからの抜粋。

蠍は雌雄2体で出てくるボスで、姿は最初からダークソウルのクラーグをみたいなものと決まっていました。

組み合わせで、雌の方が大きく、雄は雌の周りをやや機動性がある感じで動くという戦いが想定されていました。

前作に対して、もう1段幅広いシチュエーションを体験してもらえるようにということで、砂地というか乾いた砂漠のようなステージが考えられました。

(中略)クラーグは蜘蛛でしたが、砂なら蠍だろうと。

この発言を裏付けるように、彼らには未使用のカットシーンが残されている。

そちらの内容を参照するとどうやらDS1のオーンスタイン&スモウの様に同時戦闘→片側撃破でもう片方が強化といった感じのシーケンスがあったようだ。

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Sanadsk氏の動画(https://youtu.be/yfqmt7JQG8Y)より。1:00くらいから

ゲーム中でボスとして戦うナジカが魔法型の遠距離タイプなのに対して、一方のタークが完全に近接タイプな戦闘スタイルなのも、以上の事実を踏まえると理にかなっているように思える。

 

彼らに関連する武器として、ファロスの扉道で拾える「大蠍の黒針」という武器がゲーム中に存在する。これは本来タークのボスソウル由来の武器だったようで、内部名では「DS:マンスコーピオン♂:刺突剣」と呼ばれている。

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大蠍の黒針

彼らはゲーム中だと「虚ろの影の森」に配置されているが、元々は「溜まりの谷(土の塔も含む)」に居たらしい。先に紹介した没カットシーンはそちらでロードされる。

そもそもが蠍という設定であったり、ボスエリアが取ってつけたような砂漠地帯になっている事を鑑みると、溜まりの谷(土の塔)に彼らが居たというのは確かに腑に落ちる。

 

アガドゥラン(墓守アガドゥラン)&アガドゥランのスタンド(闇潜み)

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ゲーム中の彼は不死廟に居るNPC(召喚可能)なのだが、彼も本来ボスとして作られていたキャラクターらしく、データID上はボスとしてリストされている。

ただ一介のNPCにしてはあまりにもユニークかつ多彩な攻撃手段を持っているので、訝しんでいた人も多いのではないだろうか。

 

そしてもう一人の関係者が内部名で「アガドゥランのスタンド」と呼称されているボス、「闇潜み」。

彼らは先述のナジカ&タークのように没カットシーンが残っていた訳でもないので実際に同時に戦うようなボスだったのかは明らかではないが、ゲーム中における闇潜み自体が複数ボスな事や、そのネーミングから察するにそう考えるのは不思議ではない。

さらに闇潜みのテクスチャにはアガドゥランが振るう不死廟の黒剣のテクスチャが内包されていたりする。これは彼らが同時に出現する予定だったであろう事を物語っている。

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闇潜みのテクスチャの一部。何故か不死廟の黒剣のテクスチャが内包されている(赤枠内)

 

彼に関連する武器は2つある。そのひとつが彼自身が持っているものの、何故か”古き死者のソウル”との交換で手に入る「不死廟の黒剣」。もう一つが彼から譲渡される「闇朧」。

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不死廟の黒剣

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闇朧

それぞれ内部名では「アガドゥラン:特大剣」「DS:アガドゥラン:刀」と呼ばれている。特大剣の方は何故か"DS"というラベルが付けられていない為、そちらは別の入手手段があったのかも知れない。

 

リッチ&レイス

こちらは完全にゲーム内からカットされたボスであり、モデル等も残っていない。

ただカットシーンは残っており、先述したナジカ&タークのカットシーンに似た内容から、こちらもオンスモ形式のボス戦があったことが伺える。

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Sanadsk氏の動画(https://youtu.be/yfqmt7JQG8Y?t=330)より抜粋。

モデルデータの都合上、ナヴァーランとレディアの呪術師に置き換えてるだけなので彼らは一切無関係。

このカットシーンは「クズ底(黒渓谷も含む)」でロードされる物なのでおそらくそちらのボスだったと思われる。

 

しかしゲーム中には彼らに関連した武器が未だ残っている。それが「オランフォードの杖」である。

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この武器は内部名で「DS:リッチ:片手杖触媒(奇蹟闇術)」と呼ばれている。しかし実際にこの触媒で奇跡を扱うことは出来ず、扱えるのは他の杖同様に魔術と闇術である。

不死廟でこの杖と一緒に「雷の大槍」が手に入るのはこの内部名に関連しているのだろうか。元々は聖鈴又は杖タイプの奇跡触媒だったのかもしれない。

 

 ファントムナイト(不死廟の騎士)、ファントムメイジ(レディアの呪術師)、ダークビショップ(レディアの魔女)

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彼らは不死廟にいるモブ敵なのだが、不思議なことに彼らのキャラクターIDはボス等で使用されている番号に設定されている。後述するアルファ版のボスソウル名にも彼らのソウルとおぼしき物がリストされている事から本来はボスだったと考えられる。

アートワークス内のインタビューでも彼らに対しての言及がある。そこでは彼らが元々は3対1で戦うボスだったことが明かされている。

 (レディアの呪術師について)最初は不死廟に居る騎士などと組んで複数で出てくる予定でした。

開発名称では、ファントムナイトやファントムメイジと呼ばれていて、先程の蠍の話に近いですが、魔法使い系統と、力や守備力が高い系統といったそれぞれ特徴を持った複数のキャラクターが組んでるという。 

3対1でパーティーと戦うといった戦闘を考えていました。

 

なお、ゲーム中には出てこない「ファントムプリースト」という敵キャラも居たようだ。しかし、そちらは早々にカットされてしまったらしく、データ内での言及がほぼ存在しない。

唯一の痕跡が「不遜なるもの」装備の存在で、この装備は内部名で「ファントムプリースト」装備とされている。その名前から察するに上記のファントムトリオの一人として含まれていたようだ。(おそらくダークビショップに置き換えられたのだろう)

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スカラー版に出てくる彼はただのコスプレNPCである。

 

彼らの装備品については、今現在のダークソウル2で彼らの装備として登場している物以外の物は見当たらなかった。

しかし唯一気になるのが、レディアの魔女から入手できる「魔女の黒枝」の存在。この武器は内部名で「ダークビショップ:片手全触媒」と呼ばれ、全スペルを使用できる事を想定してたと思われる名前がつけられている。

ゲーム中で手に入る「魔女の黒枝」も殆どのスペルを使用できるが、炎攻撃力や炎補正があるにも関わらず呪術だけは一切使用できない。

持ち主である「レディアの魔女」自体も呪術を使用する事を考えるとこれはかなり不可解な点だが、これはダークソウル2の呪術が杖で扱うものとして作られていたが途中でDS1の形に変更された事に起因している。

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アルファテストの説明ページ。この頃はまだ杖で呪術が使えた。

同じくレディアの呪術師の武器である「ブルーフレイム」がその持ち主の物とは違って魔術しか扱えなくなっているのも恐らく同様の理由である。

この武器は本当の意味で「"ブルー""フレイム"」だったようだ。

 

サラマンダー(炎トカゲ)

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朽ちた巨人の森などにいる「炎トカゲ」だが、彼らもデータ上はボスとしてリストされている。しかし最初のゲームプレイの時点でエリアに復数居るのが確認できた為、既にこの時点でただのエネミーだったのかもしれない。

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彼にも他のボスようなDS武器が存在し、設定を変えてゲーム中に登場している。それが護り竜のソウルから交換可能な武器である「火吹き槍」である。

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火吹き槍

特殊攻撃がサラマンダーの火炎攻撃と類似していることに気づいたプレイヤーも少なからず居たのではないだろうか。 

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ヤドカリ城

こちらは完全にカットされたボスである。しかし、「忘却の牢」のマップピースの中には「砦を背負ったヤドカリ」の様な未使用モデルが存在する。

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まさに城(砦)を背負ったヤドカリといった見た目だが、このモデルデータ自体からは「ヤドカリ城」に関連する情報(参照IDなど)は見つけられなかった。なのでこれが本当にヤドカリ城そのものだったのかどうかは残念ながら断定できない。

 

そしてこのボスにも関連する武器が存在し、それが「異形の爪」「異形の殻」である。

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異形の爪

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異形の殻

入手手段が大きく異なる2つの武器だが、その武器名や説明文には共通点が多く、気になっていたプレイヤーも少なくないかもしれない。

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両者の説明文には「甲殻類」についての言及がある

それと、「異形の爪」については隠れ港のボス戦に現れる異形の影が何故か所持しているが、両者には特にデータ上関連性は見られない。

たまたま爪攻撃のモーションを持っていたこのキャラクターにドロップを紐付けたのだろうか。

 

 腐食虫(腐食虫)

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クズ底にいる謎の巨大虫エネミー。やはり何らかのボス敵だったようで、ボス用のIDが割り当てられている。

そしてこの腐食虫には「外殻」「本体」「子」と呼ばれる3つのキャラが存在し、クズ底に配置されているそれは「外殻」と呼ばれるキャラのようだ。

「本体」「子」についてはデータ上名前が残ってるのみで、その他の情報は見当たらない。

DLC1に流用された没ボスが他に居ることから、サルヴァに居る「酸蟲」の関連性を疑ったが、そちらからは特に関連する情報は出てこなかった。特に関連する装備等の情報も見当たらず。

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俯瞰。

巨人族親衛隊長

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こちらは昔書いた記事でも少し取り上げたが、モデルが完全に残っている。このモデルは「幻影用」とラベルされており、実際にゲーム内にそのままロードさせると半透明で表示される。(上記の写真はマテリアルを編集している。)

未使用のカットシーンも存在し、そのロード先は「朽ちた巨人の森・過去(巨人の記憶)」になっている。

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カットシーンの1コマ。Sanadsk氏の動画(https://youtu.be/yfqmt7JQG8Y?t=228)より抜粋。

巨人族のボスキャラというポストを「最後の巨人(巨人の王)」に奪われ、雑魚として再利用されることも無かった悲しき存在である。

そんな彼のDS武器だけはゲーム中に残っており、それが最後の巨人のソウルから生成できる「巨人の石斧」である。

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「最後の巨人」は勿論の事、「巨人の王」ですら使用しないこの武器であるが、やはり持ち主は別に居たようだ。

巨人の王の剣が武器化されてないのは、単に間に合わなかったのだろうか。

 

脳幹の神木(聖樹)

このボスは没になったものの、DLCのキャラクターに再利用されていると思われる痕跡があった。その再利用先がおそらくはサルヴァの「聖樹」である。f:id:inbksk:20210615201034j:plain

この「聖樹」のモデルのテクスチャは「o22_9000」というファイル名なのだが、名前は本来キャラクターではなくオブジェクト用に使われる物なのである。

そこで実際にオブジェクトに関連するデータを調査すると、このテクスチャ名で指定されている「o22_9000」のオブジェクト自体が「脳幹の神木」と呼ばれている事が判った。

モデル自体はDLCに採用するにあたって手を加えたような形跡があるが、テクスチャ指定がそのままな事を考えると、おそらくは微細な調整だろう。

 

それと面白いことに、「作り直し以前」の物と思われるアルファ版の会話データ内にはこのボスへの言及と見られる記述が存在する。

『古き森』が薄気味悪いのわね
森の奥の『神木の枝』が、デーモンの頭部と繋がっているからなの
そのため…森全体がデーモンと化しているわけ

「神木の枝」が繋がっているデーモンが「脳幹の神木」の事だと思われる。

「デーモンの頭部」という妙な部位指定も「脳幹」に関連している様にもとれる。

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聖樹を裏からみるとやはり頭部に謎の空洞がある

そしてこのボスにもDS武器が存在し、それがかの有名な「サンティの槍」である。

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サンティの槍(開放前)

 開放前のサンティ槍は石像の顔を貫いているようなデザインだが、その貫いている場所が「脳幹」のように思えるのは流石に気のせいだろうか。

 

双頭のワイバーン

こちらは名前しか残されていないボスである。しかし、武器だけはゲーム中に残されている。

それが「護り竜のソウル」から交換できる翼竜の特大剣」と、「古の竜のソウル」から交換できる「古竜の大曲剣」である。

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翼竜の特大剣。柄に双頭の竜があしらわれている。

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古竜の大曲剣。根本にあしらわれた竜から刀身表裏にそれぞれ2つの頭が伸びている。

これらの武器のデザインに改めて着目すると、どちらの武器も双頭の竜を強くイメージさせるデザインをしているのが判る。

他にもゲーム中に登場するワイバーンのボスとして「護り竜」が思い出される。がしかし、「護り竜」自体はデータ的にボスとしてリストされておらず、DS武器も存在しない。双頭のワイバーンの代理役なのだろうか。

 

リヴァイアサン

こちらも名前と武器のみが残されているボスである。名前的に水系のボスなのは明らかなので、思い当たるエリアとしては「アマナの祭壇」だろうか。

しかし、作り直し以前のダークソウル2には「水没城(不死城郭とも呼ばれる)」というエリアが存在するのでそちらのボスだったのかもしれない。

 

そしてこのボスのDS武器は、「人斬り」「螺旋の槍」である。

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人斬り

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螺旋の槍。ポセイドンを意識している?

武器の説明などに共通点は無いが、不思議な事にこの2つの武器は両方とも水辺エリアであるアマナの祭壇内で入手できる。

ただの偶然な可能性もあるが、少し恣意的なものを感じなくもない。

 

恐獣(なりそこない)

このボスも名前だけ残っている詳細不明のボスだったのだが、こちらも「脳幹の神木(聖樹)」同様にDLCにて再利用されている可能性があることが判った。

それがサルヴァの「なりそこない」である。

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なりそこないのIDは「c6830」なのだが、モデル内では何故か「c5050」とラベルされている。そしてその「c5050」はちょうど「恐獣」のIDと同一なのである。

そして、ゲーム内にはなりそこないに似た未使用のオブジェクト用モデルが存在する。

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こちらは未使用モデル。肌感が少し違う

この未使用モデルはゲーム中に出てくる「なりそこない」とデザイン自体ほぼ一緒なのだが、ひとつ大きな違いとして尻尾の形状が異なっている。

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手前が未使用モデル。奥が通常のなりそこない。

おそらくこちらの未使用モデルが「恐獣」そのもので、DLCにて再利用する際に尻尾のデザインを変更したようだ。

実際にコンセプトアートを確認すると、尻尾の形状は未使用モデルの方に近くなっており、こちらの尻尾を持つモデルがオリジナルのデザインであったことを物語っている。

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DARK SOULS II DESIGN WORKSより

 

アルファ版のボスソウル名について

ダークソウル2のアルファ版には「作り直し」以前の物と思われる、今とは全く違った名前を持つボスのソウルがアイテムリストに残されている。

現在のダークソウル2に居ないボスはあらかた紹介し終えたので、ここではそれらの情報も踏まえてこのボスソウルがどのボスの物であったのかを推理していく。

紅炎トカゲのソウル

「炎トカゲ(サラマンダー)」だろう。

大蛙のデーモンのソウル

大蛙と言われて考えられるのは「唄うデーモン(内部名は美声カエル)」だろうか。

蜘蛛の女王のソウル

「公のフレイディア」だろう。内部名もそのまま「蜘蛛の女王」

宿り大蟹のソウル

「大蟹」として考えられるのは「ヤドカリ城だろう。おそらく「宿り」という部分もヤドカリに掛かっている。

地竜の化身のソウル

「地竜」といえば「竜騎兵」が乗っていたとされる竜なのだが、ゲームファイルを調べてもどうやら地竜単品での敵データが存在しないのでそちらは無関係に思える。(恐らく竜騎兵の地竜はSEKIROの鬼刑部が乗る鬼鹿毛の様にボスの一部としてモデルされてたのだろう)

そこで考えられるのが先に紹介した「恐獣」

デザインは竜騎兵の地竜とも似ているし、あえて「化身」という名詞をつける所にデザインのギャップを埋める意図を感じるので少し理にかなっているように思える。

ヘル・スコーピオンのソウル、デス・ストーカーのソウル

「ヘル・スコーピオン」については名前の通り「蠍のターク」或いは「蠍のナジカ」だろう。そして名前の韻が揃っている事と、ID上この2つが連なってリストされている事を踏まえると、残りもう片方がデス・ストーカーだというふうに考えられる。

しかし、「デス・ストーカー」の方は名前のイメージが今の蠍夫妻から少し乖離していることから、蠍夫妻のソウルがまとめて「ヘル・スコーピオンのソウル」だったという可能性も挙げられる。

しかし、他の復数ボスは基本的にそれぞれのソウルを持っているので、個人的にはこの2つのソウルがそれぞれ「蠍のナジカ」と「蠍のターク」のソウルだったと考えるのがベターに思える。

 

※当記事を公開したあと、Twitterで「デス・ストーカー」は蠍の一種(オブトサソリの英名)だという事を教えて頂いた。確かに内部ID的にはターク→ナジカの順番で並んでおり、ボスソウルも同様の並びなのでこれは正しいと思われる。(この蠍の特徴とナジカのデザインの共通性を含め)

ja.wikipedia.org

鏡の騎士のソウル

言うまでもなく「鏡の騎士(内部名:ミラーナイト)」だろう。

カゲロウ竜のソウル

名前を見て真っ先に思いつくのは内部名が「カゲロウ龍」だったDS1の月光蝶

しかしゲーム内に「月光蝶」が存在した痕跡が一切見当たらず、流石にボスソウルが用意されるようなボスだったとするとその痕跡すら全く存在しないのは少し違和感を覚える。

そして次に挙がるのが、「月光蝶」に名前がよく似た「月下蝶」。こちらは内部名で「グレートモス」と呼ばれおりカゲロウ竜には掠らない。データ的にもやはり一介の雑魚敵でしか無かったようなのでこれも除外する。

そこで「カゲロウ」を「陽炎」と解釈してみると、候補に挙がるのは「護り竜」「鉄の古王」だろうか。

「護り竜」は一番それっぽいのだが、双頭のワイバーンが居た頃に果たして彼がボスソウルを持っていたのだろうかというと些か疑問が残る。

「鉄の古王」に関しては、見た目が竜っぽくて陽炎のイメージを持っているというだけだが、理由としては彼のボスソウルが他に見当たらないのが一番大きい。

おそらく鉄の古王は「作り直し」以前からゲームに居たと思われるのだが、それのソウルが無いのは少し不可解である。

岩の巨人カノッソフのソウル

おそらく「巨人親衛隊長」のものだろう。

「岩の巨人」という名前も「最後の巨人」以外の巨人兵たちが持つデザイン特徴に合致する。

黒炎トカゲのソウル

こちらも「炎トカゲ(サラマンダー)」に思える。

「炎トカゲ」が2種リストされているのは少し不可解だが、彼らにには「全身炎」という未使用の形態があったようなので、強化版の「炎トカゲ」が居てもおかしくはない。

もしくはこれが「鉄の古王」或いは「護り竜」なのだろうか。

アガドゥランのソウル

おそらく「墓守アガドゥラン」の物だろう。

「アガドゥラン」と「闇潜みのソウル」が個別に存在しないのは、やはり闇潜みがDS3のサリヴァーン戦における幻影の様なものだったからだろうか。

もしくは、先に上げた「デス・ストーカーのソウル」が闇潜みの物だった可能性もあるが、アガドゥラン本人のソウルとかなり離れた場所にリストされている事から可能性は薄いだろう。

古の神木のソウル

「脳幹の神木」の物だろう。

双頭竜のソウル

「双頭のワイバーンの物だろう。

竜騎兵のソウル

「竜騎兵(内部名・重騎馬兵)」の物だろう。

この頃は地竜に乗っていたのだろうか。

幼生ナーガのソウル、成体ナーガのソウル

どちらか片方は内部名で「ナーガ」とされている「毒の妃ミダ」の物だろう。

もう片方については有力なキャラが全く思い浮かばなかった。考えられるのは内部名で「両面戦士:ヘビ頭」とされている「流罪の執行者」だろうか。

しかし彼はデータ上ボスとしてリストされては無いし、ナーガのイメージとは少し違うように思える。

貪りデーモンのソウル

「貪りデーモン」の物だろう。

ちなみに面白い事実として、彼の内部名は「ジャバ・ザ・ハット」である。

魔手のソウル、呪手のソウル

名前的に復数ボスで有ることを踏まえ、ファントム系や蠍夫妻を除外すると考えられるのは「レイス」「リッチ」と考えるのが妥当だろう。

玉座の監視者、守護者」は開発段階ではヴェルスタッドも含むトリオとしてデザインされている事と、そもそも「作り直し後」のキャラクターのようなので除外する。

内部ID的にはレイス→リッチという並んでいる。蠍夫妻同様にボスソウルも同じく並んでると仮定すると「レイス」が「魔手」であり、「リッチ」は「呪手」である。

「オランフォードの杖」を持つ「リッチ」が「魔手」じゃない事は一見奇妙に思えるが、この杖が内部名が「リッチ:片手杖触媒(奇蹟闇術)」な事を考えるとやはり聖鈴扱いの杖触媒だった、ということで説明できる。

魔女リディーレアのソウル

「レディアの魔女」だろう。

幻影の騎士のソウル、幻影の術士のソウル

「ファントムナイト」「ファントムメイジ」だろう。

「ファントムプリースト」のソウルが存在しないのはやはり早期にカットされた為か。

ヴァンクラッド王のソウル

「ヴァンクラッド王」の物だろうだろう。

王妃デュナシャンドラのソウル

「デュナシャンドラ」だろう。ラスボスの彼女は「王妃の鎧形態」という内部名で呼ばれている。

一方、ゲーム中で目にする人間形態のデュナシャンドラは「新王妃」と呼ばれており、以前は別のモデルが存在した事が伺える。

 この絵に書かれている王妃が旧デザインなのだろうか。

処刑人のソウル

「刑吏のチャリオット(内部名・シルバーチャリオット)」だろう。

彼はそこそこ後の方に完成したキャラのようで、ボスソウル同様にキャラIDもかなり後の方にリストされている。

当初は馬上の刑吏も戦闘に加わったとデザインワークス内のインタビューで言及されているが、このソウル名が「処刑人のソウル」なのもその名残なのだろうか。

 

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今回は以上。他記事と同様に2部構成で分割する予定だったが、記事を分けるとボスソウルのくだりが少々解りづらくなってしまうのでこの様な形に。

記事内で度々引用したDARKSOULSII DESIGN WORKSは他のアートブックと比較してもインタビューによる情報量が多く、作中の舞台裏が気になるプレイヤーにはとてもオススメ出来る書籍なので気になった方は購入してみると良いかも知れない。物理版の値段が狂っているので電子版を買いましょう。

 

ダークソウル2に関してはまだ語り尽くせない部分があるので、いずれまた何かしらについて書くと思います。ご愛読感謝。