Bloodborne:3人目の血族
かつてブラッドボーンには一時期、3人目の血族問題というものがありました。
通常、カインハースト城にて女王アンナリーゼと血族契約を行った際に「今や私達”2人”ばかりなのだからな」という台詞が聞けるのですが、その台詞が「今や私達”3人”ばかりなのだからな」となっている場合があり、人によってそれぞれ違っていたのです。
フム~ pic.twitter.com/MtOHWvrhFH
— クズ底 (@The_Gutter_) 2020年8月17日
これを知った多くのプレイヤーは当然「この差異は何らかの条件分岐がゲーム内に存在し、例えば血族と目されるNPC(流血鴉やアリアンナ)の生存状態で台詞の人数が変わっているのではないか?」と考えました。
しかし、いつの間にかこの「3人ばかりなのだからな」という台詞は表示されなくなり、詳細な条件も判明せぬままにプレイヤー達からは忘れられていきます。
今回はそれを調べてみましょう。
まず、なぜこの台詞が聞けなくなったのかというと、当然ながらアップデートにより削除された為です。
自分の確認した限りでは、GOTY版(ver.1.06)の時点で3人目の台詞は削除されています。
しかしDLCが出る少し前からこの3人目についての話題はネット上であまり見かけなくなっていた為、おそらくそれまでに出た通常アップデートのいずれかによって修正されたのかと思われます。(時期的にたぶん1.03か1.04あたり)
アップデートにより台詞が削除されたという背景を考慮すると、この”3人目”という台詞はそもそも開発者が意図したものではなかったのでしょう。
とりあえずver1.00とver1.06のテキストから該当部分を比較してみます。
ver1.00
うむ
さあ、啜りたまえ
穢れた血だ。故に貴公に熱かろう
フフ…ククククク…
…これで、貴公は我が血族
今や私たち、たった2人ばかりだがな
…これで、貴公は我が血族
今や私たち、たった3人ばかりだがな
ver1.06(GOTY版)
うむ
さあ、啜りたまえ
穢れた血だ。故に貴公に熱かろう
フフ…フフフフフ…
…これで、貴公は我が血族
今や私たち、たった2人ばかりだがな
…これで、貴公は我が血族
今や私たち、たった2人ばかりだがな
ご覧の通りver1.00で”3人”となっていた箇所がver1.06では”2人”に修正されています。
しかしテキストが2パターン用意されていることから何らかの分岐が存在していることは伺えます。
アップデートによってテキスト分岐がなくなったというより、分岐先のテキストが両方とも「2人ばかりなのだからな」といったテキストに変更されたみたいですね。
しかし、何故そもそも会話の分岐が発生していたのか。
3人目というセリフのトリガーとなっていた条件とは何なのでしょう。
今度は会話イベントのスクリプトを軽く確認してみます。
def t250307_x3(text1=_, text2=_):
"""State 0,4"""
DebugEvent('性別判定')
if ComparePlayerStatus(12, 0, 0) == 1:
"""State 3"""
TalkToPlayer(text2, -1, -1)
assert CheckSpecificPersonTalkHasEnded(0) == 1
elif ComparePlayerStatus(12, 0, 1) == 1:
"""State 1"""
TalkToPlayer(text1, -1, -1)
assert CheckSpecificPersonTalkHasEnded(0) == 1
"""State 2"""
ReportConversationEndToHavokBehavior()
"""State 5"""
return 0
def t250307_x21():
"""State 0,13"""
assert t250307_x3(text1=1700300, text2=1700350)
"""State 4"""
ClearTalkListData()
"""State 3"""
AddTalkListData(1, 14000260, -1)
AddTalkListData(2, 14000261, -1)
"""State 2"""
OpenConversationChoicesMenu()
if GetTalkListEntryResult() == 1:
"""State 5,9"""
assert t250307_x3(text1=1700400, text2=1700450)
"""State 1"""
SetEventState(72500337, 1)
"""State 10"""
assert t250307_x3(text1=1700410, text2=1700460) and not GetEventStatus(72500337)
"""State 11"""
assert t250307_x5(flag1=72500336, z1=9042)
"""State 8"""
assert t250307_x4(z2=18, z3=818, flag2=6758)
"""State 7"""
SetEventState(72500332, 1)
SetEventState(72500312, 1)
elif not IsTalkExclusiveMenuOpen():
"""State 6,12"""
assert t250307_x3(text1=1700500, text2=1700500)
"""State 14"""
return 0
(太字部分が「○人ばかりなのだからな」の分岐箇所)
どうやらプレイヤーの性別によってテキストの分岐判定がされてるような事が書いてある気がします。
よくわからなかったので実際に試してみます。
というわけで確認できました。
結果としては単純で、プレイヤーキャラが男性の時は”2人”になり、プレイヤーキャラが女性の時は”3人”になっていたというというだけ話です。
その後女性キャラでカインの流血鴉やアリアンナを片っ端から殺害したものの、アンナリーゼの台詞は”3人”から変わることはありませんでした。
やはりこの台詞の分岐条件はプレイヤーの性別だったようです。
種を明かせば単純な条件ではありますが、条件が比較的バラけやすいプレイヤーの性別なうえに、この台詞自体も血族契約の際にしか聞けないモノだったというのもあって当時のプレイヤーを混乱させるのには十分だったのでしょう。
そもそも何故こんな会話分岐が用意されているのかと思われるかもしれませんが、これ自体は別に珍しい事ではなく、このシリーズのほぼ全てのNPC会話にはこのような性別分岐があります。
一見日本語では話すことが男女で一緒なNPCでも、文脈上ローカライズ先でテキストに男女差をつけないといけなかったり、逆もまた然りな場合もあると思うので元々そっち方面での配慮なのでしょう。
では何故今回のアンナリーゼのような、性別による人数の差異が生まれてしまったのでしょうか。
ただ単純にタイプミスなのかもしれないし、或いはかつて本当に存在した”もうひとりの血族NPC”の存在が不採用になった際に一部の台詞を直し損なったのか。。。
もうひとり血族NPC
ブラッドボーンにはエネミーに対して血族特攻というシステムが働くことがあります。
これは血族フラグをもっている敵に対して、一部の武器が特効ダメージを与えるといったモノです。
実はNPCであるアンナリーゼもこの血族フラグをもっており、仕様上は血族への特効ダメージが働きます。
(肉塊にする判定は単に”50回攻撃された”というフラグがトリガになってるので彼女へのダメージは関係ありません。彼女は基本的に無敵です。)
そして、ゲーム内にはもう一人だけ血族フラグを持つNPCが居ます。
それが彼でして、内部名もそのまま”血族NPC”と呼ばれています。
マップ内の配置も残っていて、ビルゲンワースの聖歌隊NPCのようにどうやらエリア攻略道中に現れる中ボス的なNPCだったようです。
設定データが一部欠落してるのでステ振り等は不明なままですが、各種NPC用に設定されているバフの情報は残っており、”HP1.3倍、攻撃力1.4倍と攻撃力1.3倍”のバフが適応されていて、中々の強敵だったことが伺えます。
ところで、騎士の一房のアイテムテキストにはこういった記述があります。
カインハーストの騎士たちが好んだ装飾具
束ねられた一房の銀髪を模したもの
確かに彼の風貌を観ると銀髪であり、この装備がとても似合っているように思えます。
騎士の一房が他の装備と違って個別に捨て置かれてることを踏まえると「元々彼の持ち物だったのでは?」と思ったのですがどうやらそうではないらしく、彼自身のドロップアイテムとして設定されてるのは何故か輝く硬化x10枚。
お金持ちだったのでしょうか。
終